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Yooka-Laylee ~64時代を彷彿とさせる懐かしの箱庭アクション~

概要

Yooka-LayleePlaytonic Gamesという会社が発売した箱庭型アクションゲームです。

※箱庭型というのは、各面毎に広大なマップが用意されており、そこを探索してアイテムを集めていくようなゲームのことを指します。

 

本作はスーファミ、64世代のゲーマーなら知らない人はいないであろうゲーム会社、レア社のメンバーが再集結して作成されています。レア社というとスーパードンキーコングバンジョーとカズーイの大冒険、更には007なども開発しており、その技術力と企画力の高さから当時の覇権を握っていたうちの一社と言っても過言ではありません。つまりめちゃくちゃ凄い会社だったわけです。

 

そんな元レア社のメンバーが、箱庭アクションという得意ジャンルを引っ提げてインディーズに参入…これはもう当時のゲーマーからしたら期待に胸が膨らまざるを得ないですし、若手のゲーム作者からしたらもうチート集団のようなものだと思います。

 

今回はそんな強者すぎるインディーズ集団が開発した、Yooka-Layleeの感想を書いていきます。購入の参考になれば幸いです。

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カメレオンのYookaとコウモリのLaylee、本作の主人公達だ



 

評価

評価:★★★☆☆ 良作。だが明確な不満点あり。

美しくコミカルな世界とBGMが強い。箱庭型なので冒険する楽しさを手軽に味わうことができる安定した良作。インディーズに分類すること自体に問題を感じるレベルのハイクオリティ。

一方、操作及びカメラ感度の影響でミニゲーム等が無駄に難しくなってしまっており、ストレスが溜まる部分も多く、また日本語訳は劣悪のためストーリーには期待できない。

 

 

良い点

●箱庭だけど広大なステージ:冒険気分を気軽に味わえる

箱庭アクションの特徴として、マップが濃密になる点が挙げられます。世界の広大さを比較してはオープンワールドに劣りますが、たくさんのイベントを限りある範囲に詰め込まなければならない箱庭型は、ステージの濃密さにおいて勝る傾向にあるのです。

 

本作もその例に漏れず、各ステージの作り込みは大変すばらしいものとなっております。参考までに1面の画像を用意しました。

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1面入ってすぐのところ

上の画像だけではよくわかりませんが、高いところから全体を見下ろすと、非常に広大なフィールドであることがよくわかります。広すぎて画像に全体を収めることができませんでした。

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上から見るとこんなに広い!

1ステージだけでもこれだけの広大さを有しており、かつフィールド上にはミニゲーム的なものが大量に存在します。必然的にマップの密度は濃くなり、冒険に飽きを感じさせにくい構造となっております。

 

また各ステージにはわかりやすいテーマがあります。1面であれば遺跡平原といったところでしょうか。これが他ステージになると…

 

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美しい氷の世界が広がる

こんな感じになります。 このように、ステージ毎に雰囲気がガラリと変わるため、完全にフレッシュな状態で楽しむことができます。

そして本作の強みとして、すべてのステージで一貫してこのハイクオリティが続くことが挙げられます。ステージをいくら進めても、なんか手抜きになってきたなーと感じることはありません。更に各ステージ間の移動は結構短いため、1面をクリアしたら割と簡単に次のステージへと進むことができます。

 

様々な世界を探検することができる本作では、始めてからクリアするまでずっと未知の世界を冒険する楽しさを味わい続けることができるでしょう。

さすがは元祖箱庭ゲーを作り上げた元レア社スタッフといったところでしょうか。

 

 

●追加アクションが多い:強くなっていく主人公達

本作の主人公YookaとLayleeですが、ゲームスタート時点ではほとんどアクションを持っていません。せいぜいちょっとした近接攻撃ができたり、近くのチョウチョを舌を伸ばして食べる程度しかできません。あとなぜか2段ジャンプは最初からできる。

そんな彼らではありますが、各ステージにいるヘビのTrowzerという商人から技を購入することで様々なアクションをこなせるように成長していきます。

 

例えばヒップドロップができるようになったり、口から氷塊や炎を吐けるようになったりと、アクションの幅はステージの進行に合わせて広がっていくわけですね。

 

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Yookaが丸まって高速移動できるようになったり(影の中ですみません)

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Layleeが衝撃波を放って周囲の敵を一掃したり(分かりにくくてすみません)

この仕様のおかげで操作していてもアクションを単調に感じることはなく、また新しい能力をいかに使用してミニゲームや謎解きを行うかを短いスパンで試行錯誤することとなりますから、プレイしていて飽きにくいです。ステージを進む際には、次はどんな能力が手に入るのだろうとちょっとワクワクしてしまいます。

 

一方で、能力が増えるということはステージ側の要求するアクションもより高度なものとなっていくわけですから、後半のステージに進むほど謎解きは複雑になりますし、ミニゲームも難しくなります。プレイヤー側もしっかり腕を上げなければ進めない仕様となっていることが、より飽きを感じにくくなっています。

 

 

●BGMが素晴らしい:場面に合わせたBGMが冒険を彩る

かつてレア社の作品を遊んだことのある人であれば誰もが気になるであろうBGMですが、安心してください。当時のゲームを遊んでいるかのような素敵なサウンドの数々が本作にもまた、しっかりと備わっています。

 

本作の開発スタッフが歴戦の猛者であることは先述しましたが、中でもとりわけ有名なのは作曲家の優秀さでしょう。レア社の音楽の強みとして、場面に合わせた音楽を作るのがとにかく得意という点が挙げられます。

 

本作においてもその強みは健在です。分かりやすい例でいうと、平原のステージでは雄大なBGMが、そして氷のステージでは美しく神秘的なBGM…と、ステージ毎にしっかりとその雰囲気を更に強調するようなBGMが流れます。

また、水に入ると自然にこもったような編曲に切り替わり、ミニゲーム時には疾走感のある曲になったりと、音楽が場面を後押しするような作りとなっており、かつそれらは自然にゲームの中に溶け込んでいます

 

全体的にポップな曲が多いですから、子供受けもいいと思います。というか、こういった「場面を強調できる音楽」というのはどちらかというと映画音楽に近いような作りですから、ぜひとも子供達にこそ体験してほしい部分でもあります。良い芸術には幼いうちに触れた方がよいものです。

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強力すぎる作曲家達

もし本作が元レア社スタッフ作だと知らなかったとしても、この音楽だけでも気づけてしまいそうなほどの安心安定クオリティです。

 

 

悪い点

●日本語訳の品質が悪い:意味は伝わるが完全に直訳

本作最大の欠点です。日本語でプレイしたネイティブジャパニーズであれば誰もがこの欠点を挙げるでしょう。

 

本作は日本語プラットフォームに対応していることになっています。

しかしその実、そのクオリティは「ギリギリ非対応じゃね?」という位酷いです。

ん?google翻訳でも使った?と思うような直訳レベルで、意味が分からなくはないのですが、明らかに日本語としておかしい言い回しが多いです。まあ意味伝わってはいるんですけどね。

 

個人的に、これはちょっと業界として良くないですね。「日本語ギリ非対応」とかそういう表記にしてほしいです。まして多くの人とつながりも持っているであろうスタッフ達ですからね。不可能ではなかったのではと思ってしまいます。

 

この会社のゲームは文章の言い回しがとてもコミカルかつユニークで、しっかりと翻訳するのは難しいのかもしれません。しかしそれでも自社の強みが他言語圏の人たちにも伝わるよう、努力してほしかったというのが正直なところです。

 

 

●操作性が悪い:強い慣性とカメラ感度の低さ

本作には難易度高めなシーンも結構あるのですが、その大半はこの操作性の悪さが原因です。これが評価項にて記載した、本作でストレスが溜まる大きな原因となってしまっています。

 

まず、一部のアクションにおける慣性がやたら強く設定されており、綺麗に曲がるのがやけに難しかったりします。また影が小さいせいで空中にいるときの空間把握が難しく、ヒップドロップでスイッチを押すだけの操作をミスったこともありました。その一方で本作ではスイッチを踏んだり、高いところを飛んだりといったシーンが結構出てくるため、そのたびにストレスを感じました。

 

更にカメラの動きがやたらのっそりしています。画面酔いを防ぐ上では悪くないと思いますが、これと前述した慣性の問題が合わさり、一部のミニゲームが無駄に難しくなってしまっています。

 

ボスの難易度すらこの操作性の悪さが原因となってしまっています。個人的な意見ですが、「高難度」というのはこういった操作性の悪さに起因するものであってはいけないと思っています。主人公はスムーズに動かせるけど難しい。だから試行錯誤にやりがいと快感を感じるものです。本作の難易度はそれとは違い、純粋にストレスに感じる面が強いです。

 

 

●マップ移動の面倒さ:ワープ要素が少ない

良い点で述べた通り、本作の特徴は各ステージが広大かつ濃密であることです。そのためマップの隅から隅まで探索する楽しみがあり、冒険の興奮を味わうことができます。

 

しかし本作にはその広大なフィールドをストレスフリーに往来するためのワープ要素がほとんどありません。つまり、一度行くのに手間のかかった場所を再度訪れるためには、もう一度手間をかける必要があるということです。

 

本作では広大なマップに散りばめられたミニゲームを探さなければストーリーをクリアすることはできません。しかし当然すべてが露店のように分かりやすく存在するわけではなく、意外な場所にイベントが隠されていたりもするわけですから、マップを縦横無尽に駆け回る必要があります。隠しアイテムだってありますからね。

 

その上で、フィールド内移動をスムーズにするワープの存在はもはや必須レベルといえるでしょう。また、広いフィールドの位置関係把握という意味でもこれらは重要な役割を持つはずです。

 

本作はそれらの要素が少ない事によって、マップの位置関係把握と攻略終盤の隠しイベント探しが億劫に感じられます。せっかくの長所が攻略終盤では欠点になってしまう、かなり残念なポイントです。

 

 

総評

では完結にまとめます。

 

Yooka-Layleeはコミカルな世界観とBGMがうまくマッチしており、各ステージのボリュームも充分ある、安定したクオリティを有する箱庭アクションです。値段の安さも相まって購入しやすいと思いますし、やり込み要素も相変わらず多いですから、特にアイテム収集が好きな人にとってはたまらない作品でしょう。また難易度も理不尽に高くない一方で簡単すぎるということもなく、歯応えもしっかりあります

一方で、日本語訳がひどいため世界観に心から浸るのは困難でしょう。また、操作性が若干悪く、フィールド内移動が面倒なため、全くストレスを感じずに遊ぶことは難しいのではないかと思います。昔のクオリティを求めているなら少し残念に感じるかもしれません。

 

総じてハイクオリティな懐かしの箱庭アクション

 

これがYooka-Layleeを遊んだ上での感想です。

 

 

オススメできる人

・懐かしのレア社作品の雰囲気をもう一度味わいたい

・探索が好きだが、オープンワールドをやるのは面倒

・アクションの仕様にストレスを感じにくい子供達

・やり込みが好き(100%にするのはかなり大変です)

・ライトな雰囲気で、しっかりしたアクションゲームを遊びたい

 

 

オススメできない人

・日本語がしっかりしていないのはどうしても許せない

・操作性の微妙さは許容できない

・小さなストレスの連続に耐えられない

・アクションでもストーリー重視の人 

 

以上、購入の参考になれば幸いです。